転職コンサルタント～虎の巻～ のアーカイブ

アパレル業界で人気のお仕事ランキングの上位に位置する“プレス＝press”。
プレスについて大体のことは分かったつもりでいても、具体的にどのような業務をこなし、どのような適性が求められるのか実務に即した点まで理解している人は意外と少ないようです。
プレスとはフランス語のアタッシェ・ド・プレス（attach de press）の略語であり、主にアパレルメーカーの広報や販促担当者のことを指します。
自社ブランドの商品知識を持っていることはもちろん、雑誌編集者や記者だけでなくスタイリスト、ライター、モデルなど多岐にわたる関係者と交渉する機会が多く、各種マスコミに対応する能力が問われます。最新のトレンドや文化的な知識など幅広い視野を持った人が活躍しています。
ファッションの聖地であるパリでは、プレス抜きに企業の発展は考えられないと言われているほど。各国の小売店のバイヤーにコレクションや展示会の声がけをするなど、単に広報、販促としての業務だけでなく、営業のサポートも行っているようです。
日本で成功しているアパレル企業やそのブランドの多くは、プレスの的確な判断と行動によって生まれるトレンドの発信力に寄与していると言っても過言ではありません。プレスが自社商品を各種メディアにタイミングよくアピールすることによって、自社商品がメディアで露出する頻度が高まる可能性は大いにあります。
コア層に人気の少しマニアックな商品から、幅広い層に人気が出そうな新商品や新ブランドのプロモーションまで、プレスの守備範囲はどんどん広がっており、経験・知識・発想力・人間性など、総合力が問われる職種の一つなのです。

アパレル業界で活躍している人のワークスタイルはさまざまです。
正社員、派遣社員、特定派遣社員やアルバイトなど、様々な雇用形態で働いたり、はたまた独立開業するなど・・自分の目指す方向性によって、働き方を多様化できるフレキシビリティさはアパレル業界の特徴と言えます。

今回は、「聞き慣れない方も多いのでは？」と予測される“特定派遣”についてご紹介しましょう。

特定派遣とは、派遣元である“派遣会社”の正社員として雇用され、派遣先で勤務する労働形態のことを意味します。
一般の派遣社員の場合、派遣先との派遣契約と雇用契約が連動している場合が多いですが、特定派遣の場合は正社員雇用となるため、派遣先との派遣契約に関係無く雇用が安定して確保されるというメリットがあります。（下図参照）

	正社員	特定派遣	一般派遣
雇用形態	正社員	正社員	派遣（一定期間）
雇用主	転職先の企業	派遣会社	派遣会社
働く場所	転職先の企業	派遣先の企業	派遣先の企業

例えば、販売員として働いている場合、年齢を重ねると共に取り扱う（扱える）ブランドは変化するものですが、勤め先の企業が幅広いブランド展開をしていなければ転職せざるをえない状況に陥ってしまいます。
しかし、特定派遣として働いている場合は派遣元の派遣会社が自動的に新たな就業先を見つけるフォローをしてくれますので、転職の心配をすることなく安心して今の業務に専念することが出来ます。

また、派遣先企業の正社員として就業するにあたり、派遣元の会社はその人が技術を向上させるために必要な投資をできるだけ行い支援をします。
そのため、資格の取得や研修への参加などを通して技術向上につながる様々なメリットを享受することが可能です。
派遣会社の中にはこのような特定派遣を取り扱うところも増えてきていますので、一度チェックしてみてはいかがでしょうか。

アパレルメーカーへの就職希望者の中には
「アルバイトで接客業に携わっていたし、販売員なら簡単に務まりそう。」
と安易に考えている人が多くいます。

販売員は華やかな職種に思えますし、多くの人が憧れますが、実際の仕事ぶりは意外と地味で体力勝負な面もたくさんあり、誰でも簡単に務まるという甘い見方は禁物です。

販売員のお仕事は、基本的にお客様の多い休日が最も忙しく、土日・祝日は出勤になる場合がほとんどです。
一般企業のＯＬさんのような“土日がお休みの週休２日スタイル”とは縁遠く、スタッフが交代で平日にお休みを取ります。
こうした“シフト勤務制”では、それぞれのスタッフがひと月のお休みを８～９回と決められており、“３勤１休”を基本として、２勤または４勤＋２休などスタッフ全員に偏りが生じないよう工夫されています。

一般企業に勤める友人などとお休みを一致させることは困難であり、休日が人と合わないという要素は販売員という職種が「好きでなければ続けていけない。」と言われる大きな理由の一つのようです。

また、販売員には年に数回あるバーゲンセールや初売りなど、目が廻るほど忙しい繁忙期があります。
この時期は休みなど取っている余裕はなく、連日の勤務で朝から晩まで走り回っているような状態といっても過言ではありません。
たとえばバーゲンセールが始まる前日までに商品の入れ替えや検品、仕分け、値札やハンガーの付け替え、レジの調整など次から次へと業務に追われる日が続きます。
準備の段階で数々の作業をこなさなければならず、どんなに疲れていてもお店が開店すると同時に普段の何倍ものお客様を接客しなければならないのです。

あらゆる業界のどんな職種にも言えることですが、“仕事”である限り厳しい側面は必ずあります。
そして、販売のお仕事も然り。
理想だけを求めて気持ちが先行すると、就職した後でそのギャップに戸惑うかもしれませんので注意しましょう。